金曜日, 9月 21, 2018

[9/21 Fri] ▽books 2冊

 今日は東京では、8年ぶりの気温の低さらしい。10月下旬の15℃くらいらしい。野良猫もベランダに用意した段ボール箱のシェルターに入って、寒さをしのいでいる。

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▽『君たちはどう生きるか』吉野源三郎著 マガジンハウス刊 2017年8月発行


本の売り上げベスト10で、マンガ版とともに上位に位置づけられていた作品です。図書館に予約して、やっと手元に届きました。
この本のはじめには、池上彰氏が解説を書かれています。著者は、1899年(明治32年)生まれで。1981年(昭和56年)に亡くなりました。児童文学者であり、編集の仕事をされていました。1931年(昭和6年)に治安維持法違反で逮捕されたこともありました。この本は、昭和12年に発行されました。第二次世界大戦が始まろうとする頃に書かれたわけです。
戦後の昭和37年、42年と漢字やかな遣いの修正をしたものの、そのままこの書籍は、現在で生き続けています。

はるか80年前に発行されたこの内容は、今でも共通する問題を描いています。
言葉の言い回しなどは、戦前や戦後まもなくの映画に出てくるような話し方だったりするの、その点は時代を感じさせます。しかし80年っても、人間の考えることは変わらないのだと感じさせます。

内容は、当時の中学の2年生の学生コペル君(ニックネーム 15歳)が、歴史や社会から、いろいろなことを考えます。学校のいじめ事件の話もあり、「人」って今も昔もなんら変わらないじゃないかと思い知らされます。

また、この本の哲学的な考えを身につけていれば、世界の人々ととの共存を考えていれば、中国大陸進出も、太平洋戦争突入も、違う形で、いや戦争そのものが起きることはなかったのかもしれません。

この本を読んでいると、偉いお坊さんに説教を受けているような感じを受けました。
この本は道徳の授業に適した内容であると思います。いい本だと思います

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▽『はるか HAL-C』 宿野かほる著 新潮社刊 2018年6月発行

これもTVか何かの読書レビューで面白いと言われていた小説。
最近、さまざまな分野で注目されているAI(人工知能)。この物語は、未来のAI技術により、亡くなった人間をあたかも生き返らせたようなシステムを作り上げたお話です。

運命により小学生で知り合った男女は、お互い気になる存在であったが、運命はすんなりと二人を結びつけることはなかった。そんな二人もゆくゆくは結婚にたどり着くのだけれど、1年あまりで妻はるかは交通事故で亡くなってしまう。システムエンジニアの夫、賢人は莫大なお金をかけて、最愛のはるかをAI技術で蘇らせる。
といったお話。

現代の技術を土台に、未来ではこんなことができるのではないかといった世界が描かれています。その技術的なところは、大変面白かったです。
たまたま、この作品の前に読んだ『ひと』(小野寺史宜著)では、人と人の会話がとても素晴らしかったせいか、この作品のセリフのやり取りや言葉の表現が、薄っぺらく感じてしまいました。内容の設定が良かっただけに、その点が悔やまれた気がしました。




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