土曜日, 3月 31, 2012

[3/31 Sat] ▽book「サンダーバードを作った男」

 「ジェリー・アンダーソン自伝 サンダーバードを作った男」 洋泉社刊
 ジェリー・アンダーソン+サイモン・サーチャー+マーカス・ハーン著 アーカス 吏津子訳
 
 今の自分は小学校一年生の時に出会った人形SF劇「サンダーバード」が、大きく影響を受けているのは確かである。サンダーバードのメカにはまってしまった一人である。その前には鉄人28号が大好きで、そのあとサンダーバードが続いた。そのころ初代ウルトラマンも始まった。ウルトラマンも欠かさず毎週見ていたけど、怪獣好きではなく、基本はメカ好きなので大ファンとはいえない、それから8、9年くらいして「宇宙戦艦ヤマト」に釘付けになるわけだが、基本はメカが大事なのである。

 サンダーバードオタクの僕は、まだ’お仕事’をしていたとき少々の稼ぎがあったので、以前レーザーディスクを買えなかった悔しい思いを払拭するために、サンダーバードのDVDボックスや映画DVD、超合金メカを買ったのであった。(現在は生きるために精一杯で趣味にお金をかけられない)
 そんな僕でも生みの親のことはあまり知らなかった。この本はそのジェリーアンダーソンの幼少の頃から、頂点のサンダーバードの頃、その後の斜陽人生について、プライベートのことまで書かれている。僕としてはサンダーバードを中心にその前後の作品に絡んだことに興味があり、あまり細々と記載されたプライベートなことについては正直飽き飽きしてしまい、飛ばして読んでしまった。
 これだけの成功を収めた裏には苦労したことはもちろん、西洋のビジネスシステムは芸術(僕はジェリーの作品を芸術だと思うのだが)を理解できないのか、と思ったりした。サンダーバードの大成功やその後の作品により、お金も手に入り裕福にはなるが、その後下り坂となり、一文無しになってしまうというのには驚いた。それでも自国イギリスの勲章を授与されたわけで名誉は十分に保たれているだろう。
 本を読むと作品の本放送時代から、世界でも日本の国が最もジェリーの作品を愛していたのではないかと感じた。ジェリーの作品は日本人の心にドンぴしゃのベストマッチしたのだろう。(それが何かはわからないが)
 彼らが作品を作り始めていた頃のことが書かれていた。
 『私たちは一丸となってプロジェクトのために働き、良いものを作りたいという一心で仕事に取り組んでいた。私たちの結束は非常に固く、誰もが率先して”私にやらせてみて”とか”それは俺がやるよ”とか言って積極的に関わろうとしていた。私たちは早朝から深夜まで長時間にわたって働くことが多かったので、二日間ぶっ通しで働いたような気分になることも多かったな』
 とある。まだ大成功する前の頃、いい作品を作ろうと仕事大好きな人たちが一生懸命になっていた集団の姿がかっこいい。この間読んだスティーブ・ジョブズの自伝の中に書かれていた彼らの’芸術’作品を作る姿勢に完全に共通するように思ったのであった。

 最後にある脚本家がジェリーについて語った言葉である。
 『多くの人は大人になると、想像力の本来の意味を忘れてしまう。そして生活に追われて空想すると、物語を忘れてしまうんだ。ジェリーはいつも現実的な、信憑性のある要素を物語の筋に入れることを主張した。たとえ、それが途方もないことであったとしても、そういった問題を解決するのは想像力だけなんだ』
 何か気になった台詞だった。

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