水曜日, 10月 16, 2013

[10/16 Wed] ▽book 137億年の物語


▽ 「137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史」 クリストファー・ロイド著 野中香方子訳 文藝春秋刊 2012年9月発行

 この本を基にした番組をテレビ東京でやっています。『137億年の物語』(土曜日夕方放送、先月まで日曜日放送)は第一回から見ていてワクワクする内容を毎回放送しています。この本は137億年前にビッグバンによりこの宇宙が誕生してから、現在までを解説している本です。ポイントは「点」ではなく、時の流れを「つながり」で説明しており、科学分野と歴史分野を統合していて、学校で教えるときのように分けていないところが、世界は大きな流れで動いていることを認識できるのがいいです。
 学校の教科書は、どうしてもたくさんのことを教えたいから、ダイジェスト版要素の強い教材になってしまうのでしょう。是非この本は教科書として学校で使用されるといいと感じました。

 著者の履歴を見ると1968年イギリス生まれ。歴史を大学で学び、新聞社の科学記者として勤務。子供二人を11歳になるまで家庭で奥さんと教育したと書かれています。そしてこの本も自分の子供のための書き下ろしているのだそうです。すごい!!

 この本では137億年の時間を時計の24時間で表して、それぞれの事象が何時何分の時点かを表現している手法をとっています。ちなみの人の祖先となる現生人類が誕生したのはおよそ200万年で、時刻で表すと23:59:21。人類が文字を発明して記録が始まった有史時代は5000年前で23:59:99。残りの時間はたった0.1秒。キリストが誕生した2000年前は宇宙の誕生から見た時間の経過では、ついこの前の事なのです。

 137億年前、圧縮された物資が大爆発して宇宙が生まれ、今も宇宙はどんどんと拡大しています。ゆくゆくはまた縮小をはじめ、目にも見えない大きさまで圧縮され、再び爆発するといわれています。この宇宙は途轍もない大きさで、いくつもの星や銀河系のような集団が存在しています。宇宙の果てなんてあまりにも遠すぎる距離にあります。しかしこの宇宙大きな大きな宇宙も、実は複数存在しているのでは、ともいわれています。いったいこの世界はどれだけ大きいのでしょう? そんな大きな大きな世界のすっごく小さい星の地球で、小さな小さなことで悩んでいるってことが馬鹿げて思えます。

 この本の大半は人類が生まれてからの歴史が書いてあるわけだけど、文明ができてから残虐な事ばかりを行っていることがわかります。文明社会の話がでてきてから、あまりの人類の残虐さから、読んでいて暗い気持ちになり、気分が悪くなるほどでした。文明ができる前の化石を分析すると、争いごとをした形跡は見受けられないようです。人類が知恵を持つようになってから、人間同士の殺しあいが行われたといえるでしょう。領土拡大のため、よその国を侵略し、先住民が既に住んでいる新大陸に先進国が乗り込んできて、自分たちの欲のために金銀の資源や動物の毛皮を乱獲し、そして邪魔な先住民を虐殺します。民族や人種、宗教の違いからくる争い。自分たちだけが優れている民族、自分たちの信じる宗教だけが唯一の本当の神の宗教として、他者を受けつけない考え方はどうして起こるのでしょう。

 遙か昔人類の種類は数多く存在していたそうです。何らかの地球の出来事で人類を含む多くの生物が絶滅し、そのとき生き残った人類の人数も1000人から1万人程度であったと、今の人類のDNAを調べるとわかるそうです。つまり今生きている人類はみんな元は同じ種類の人間だったはずなのです。

 地球は破壊されています。現在も儲けたいがために、森林伐採や水汚染、大気汚染と自然を破壊し続けています。宇宙ができてから現在まで時の中で、この数百年だけのほんのちょっと時間で地球そのものを破壊していることがよく理解できました。当初の人類の数も500万人から現在の70億人となり、確実に食料が足りなくなるのは見えており、気候の異変などで農作物が不作になれば、一挙に生物は絶滅するでしょう。あるいは食料を巡って大きな争いになるのかも知れません。

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 現代の世界各地でおきている「いじめ」も、他人を攻撃している行為ですよね。なぜ人類はそんなことをする「仕組み」を体内に持たせているのでしょう。。。



 先日アンパンマンの作者、やなせたかしさんが94歳でお亡くなりになりました。やなせさんは、一番大事なことは「笑顔」といいます。やなせさんは本の中に記載されているような人類の残虐な行為をきっと悲しく思っていたことでしょう。これからは天国から人類を戒めてください。合掌。



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