金曜日, 8月 12, 2011

[8/12 Fri] ▽歴史を繰り返さないために


 ◇書籍『ハイパーインフレの悪夢』(アダム・ファーガソン著)新潮社刊

 1975年に英国で出版されたもの。1920年代にドイツで起こった凄いインフレーションの記録が書かれている。第一次世界大戦で負けたドイツに対して莫大な賠償金を課せられた。とても支払えないドイツは国債を発行してドイツ帝国銀行に買い取らせる。それが当初経済の活性化につながったように見えたが、それはハイパーインフレの始まりであった。パン屋で朝買ったパンの値段が夕方には値上がっているという早さの値上げ。貨幣の価値が下がり、ものを買うのに大量の紙幣で支払うことになる。ドイツは不況から脱することができず、この物価上昇はユダヤ人の株式市場への投機のせいとし、その後ヒットラーが英雄とされる世の中が作られていった。

 今の日本では1000年に一度という大震災の復興を急いでいる。これは大事なことである。しかし復興債を大量に発行し、日銀が買い取るような(現在法律上許されていないそうだが)ことがあると、昔のドイツのインフレを招くようなことになるかもしれない。また世界的恐慌はまだまだ続いている。アメリカ国債の格付けが落ちたことで世界の株式状況は乱高下する事態となった。不況の脱出する方法をどこの国も見いだせていない状況であり、暴動や民族間の争いをも引き起こしている。怖いのはちょっとしたきっかけで戦争になることである。
 100年前のことをしっかりと把握して、覚えている人は今はもういない。過去の歴史の記録をしっかりと解析、研究して世の中が悪い方向に向かわないように考えていかないといけない。「今は昔と違う」という言葉でごまかされると、歴史が繰り返されるかもしれない。

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