日曜日, 8月 21, 2011

[8/21 Sun] ▽人との出会いは彗星のごとく


◇「彗星物語 上・下」(宮本輝)角川書店刊

     1990年前後に連載していた宮本輝の作品。東ヨーロッパがまだ崩壊する前、ハンガリーから来た留学生のボラージュが城田家に3年間ホームステイしている間のお話。それぞれ個性のある城田家族がおりなす中々普通ではない出来事が起こる。表紙に描かれている犬のフックもとてもユニークな家族だ。
     日本人と外国の人との考え方の違いは大きいと考えさせられる。ボラージュが大学で知り合った様々な国籍の人たちを城田家に招待する。その後招待したメンバーの中のイギリス人とケニア人と城田家の二人の娘が親が知らないうちに結婚話に発展してしまう。ある意味はハチャメチャな家族ドラマだ。
     話の中で宮本輝の『泥の河』の一節が試験問題として出ており、「ここで作者はなぜこの漢字を使ったのか?」という日本の訳のわからない国語の問題が笑わせる。お母さんの敦子のセリフが気にとまった。

     「へんてこりんな子供たち」
        と胸の内で言った。
     しかし、どこの家庭も、みんなそうなのかもしれない。
     親の考えは、いつも、自分の子どもについて見当外れで、何もわかってなくて、
     過大評価と過小評価のいずれかを繰り返すのであろう。



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