日曜日, 4月 07, 2013

[4/7 Sun] ▽book 「ティンホイッスル」


 昨晩の春の嵐のあと、まだ風が残っているものの、空はすっかり台風一過のような青空となっていた。読みかけの小説「ティンホイッスル」の残り少しのページを、ベランダにキャンプ用の椅子を広げて読みました。心地よい春の暖かい風に吹かれながら。

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 ▽「ティンホイッスル」 中江有里著 角川書店刊 2013年1月発行

 著者の中江さんは好きな女優さんです。最近は本の紹介などの仕事が多いようです。この小説は中江さんの2冊目の小説です。
 タイトルの’ティンホイッスル’ってどういうものか、本を読み終えてからネットで検索して知りました。アイルランドの縦笛で、映画『タイタニック』のテーマでセリーヌディオンの声の後ろで、奏でている楽器なのだそうです。静かに吹く自然の風にようなイメージを感じます。
 
 このティンホイッスルは、小説の中で心を病んで言葉が出なくなった小学校一年生の女の子が、言葉の代わりに吹いている楽器です。敏腕女性マネージャーを中心に、その人に関わる人たちを描いています。わがままな女優と、そのマネジャーが映画の地方ロケの場面から始まります。芸能界の裏の世界を少し垣間見ることができます。一人のタレントを取り巻く人々の大変さや、冷たさ、またそれに立ち向かうがんばりを感じました。好きだからこそやっていける世界でもあるのでしょう。
 人生はちょっとした人との縁で、がらりと生活が変わってしまう。それは神様がもともとそのようにストーリーを描いていて、私たち人間はその台本通りに動いているだけなのか? 考えすぎると怖くなっていく気がします。 この小説では忘れられていた出会いが、再び出会う運命のいたずら、あるいは運命の糸のつながりといったことも描かれています。


 さて、今晩からは友人から借りた’禁断の’村上春樹の「1Q84」を読み始める予定。発売から3年間経過しての気持ちをたっぷりとふくらませての読書。大事に読んでいこう。

 

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