水曜日, 8月 15, 2012

[8/15 Wed] ▽book 「ブータン、これでいいのだ」

 ふと思いました。夏休みの期間中に読書のことを書いていると、小学校時代の読書感想文を書いている気がします。
ただ違いは、イヤイヤ書いているのではなく、自主的に書いていることです(^^;)






 ▽「ブータン、これでいいのだ」御手洗瑞子(たまこ)著 新潮社

  昨年11月にブータンのワンチュク国王夫妻が来日しました。ブータンの国が大きくクローズアップされたのはその頃からではないでしょうか。
 作者は東大卒の20代後半の女性で2010年9月から1年間ブータン政府の首相フェローとして現地で働いていた方です。本書は作者の当時のブログなどの原稿を元に加筆して出版しました。

  ブータンで有名なのはGDP国内総生産の向上を目指すのではなく、GNH国民総幸福量を増やす国は人々の幸せを一番に考えるべきである、という考えを持っていることです。先日のニュースでもFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長もこのGNHというユニークな指標の一つの述べたようです。
 ブータンはインドと中国にはさまれたヒマラヤ山中の中にある、九州ぐらいの面積の国で人口は70万人くらい。チベット仏教を国教としています。4年ほど前に絶対王政から民主主義に移行した国です。顔は日本人によく似ているようです。また礼儀を重んじる点も似ているようです。でも性格は全く違うらしいのです。手帳やカレンダーを持たないことから先の予定までたてられない、記憶できる範囲しか予定を組まないようです。また予定通りにことが進まなくても、理由を述べて特に謝罪はしないとか。相手も「まぁいいか、しょうがない」と政府レベルのお仕事でもその調子。そのような文化慣習の違いから外国人を起こらせることがあるようです。怒られることに慣れていないブータンの人はあまり多く怒られると、プライドが高いので逆ギレすることもあるようです。仕事の勤務時間も基本は9時から17時で、夕食は家族と食べることが幸福と考えているようです。それはいいなぁと思います。

  作者の懸念事項もあります。急速な近代化になりつつあり、ブータンでもiPhoneを使えるし、高級な日本車などが多く走っているのだそうです。しかし所得が少ない人たちが、高くても良いモノをと、銀行ローンで買っていて「まぁ、どうにかなるさ」という気軽さでお金を借りているらしいのです。いわゆるバブル状態になってしまうのです。以前、物々交換を基本にしていた国民はお金の使い方が慣れていないことによるようです。

  面白い話ではブータンには「夜這い」がある意味社会で認められており、夜這いの後、お付き合い、結婚の流れになるらしいのです。また基本は男が女の家に婿入りするのだそうです。男は結婚後も遊び好きで、妻帯者でもいい女がいれば結婚していることを隠して、女性に声をかけてくるらしいのです。そして結婚した女性は外で男に笑顔を振りまくと、男が自分に気があると思うのでいけないことなのだそうです。

 最近友人の東南アジアでの旅で起こったトラブルの話を聞きました。そして思ったのは、文化や考えかた、慣習が日本とは違う国がたくさんあるわけで、もしその国を訪れるのなら、前もってできるだけの下調べは必要なのかも知れません。どうにかなるさ、と思ってフラッと異国に行って無事返ってこれるのはただ運が良かったことなのかも知れないのです。ブータンは人がいい国なんだと思って行くと、思わず慣習の違いから唖然とすることになるかもしれないです。もしブータンに行かれる方はこの本はとても参考になるのではないでしょうか。



作者が聞いたブータン人の話をピックアップ。

 「あるところにいて文句ばかり言う人は、別の場所に行ってもきっと文句ばかり言う。今いる場所で幸せを感じられる人は、別の場所に行ってもきっと幸せを感じることができる、そういうもんさ」

 日本人が神や仏に祈るとき、世俗的な個人的な幸せを願うかもしれない、と作者が話したところ、それに対して
「幸せになろうとと思ったらね、自分の幸せを願ってはいけないんだ。自分の幸せを探しがしたら、どんどん、幸せから遠ざかってしまうよ。
 これはとても、大切なことなんだ。幸せを願うのであったら、自分の幸せではなく、周囲の人の幸せを願わなくてはいけない。家族だとか、友人だとか、自分の身近な大切な人たち。そして周りの人たちが幸せにいられるように、できるだけのことをするんだ。知っているかい? 人のためになにか役に立つことをして、相手が幸せになるのを見ると、自分にもとても大きな満足感が返って来るんだよ。それは、自分のためになにかをしたときより、ずっと大きな満足感なんだ。幸せになりたかったら、まず、周りの人の幸せを願って、そのためになにかをすることが大切なんだ。自分の幸せを探し出したら、幸せは、みつからないんだよ。ブータン人はそれをみんなよくわかっている」

作者の締めの言葉。 「これでいいのだ」と思う力。

 生真面目にならない。
 どうにかせねばと思いすぎない。
 肩の力を抜く。
 そして、にっこり笑ってこう言ってみる。
 まずは自分に言ってみる。
 「これでいいのだ」と。



最後の感想。
 日本人はブータン人のよい考え方を取り入れることで、今後の経済超大国でなくなる日本が幸せになるのではないかと、思ったのでした。
また、この本はうつの人の気持ちを少し手助けしてくれるかもしれません。


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