木曜日, 8月 30, 2012

[8/30 Thu] ▽book 「聞く力」


 ▽「聞く力 心をひらく35にヒント」  阿川佐和子著  文藝春秋刊

 あのインタビューを多くされている阿川佐和子さんの本。テレビで話している口調そのままに文章になった感じです。とても読みやすいです。

 人が話しているときどんな応対が相手を心地よくさせ、思わぬ話を聞くことができるかといった’技術’について書かれています。とはいっても難しいことを書いているわけではなく、阿川さんの過去の経験を例にユーモラスに説明しています。

 話をしていてその人がすっかり忘れていたことが、急に思い出されることもあるというのも会話の面白い点です。

 井上ひさしさんとの会談の話では、井上さんの離婚時期にお話を聞いたそうです。
「(略)つらかった時期のことを誰かに語ることによって、ご自分の気持ちを整理しようとなさっていたのかもしれません。」
「(略)きっと井上さんも、ようやく他人に話す気になるほど、心の傷が回復されたのでしょう」 
 と書いてあります。人がつらくて他人にそのことを話すのもつらいとき、しばらくして他人に話すことで気持ちは整うという効果も聞くことで癒されるのですね。うつ状態でも人に話をするだけでも治癒に向かうのだと感じています。

 最後に書かれていた言葉。
 「人の話はそれぞれです。無口であろうと多弁であろうと、語り方が下手でも上手でも、ほんの些細な一言のなかに、聞く者の心に響く言葉が必ず潜んでいるものです。でもそれが、決して「立派な話」である必要はない。声の出し方、ちょっとした反応、表情、仕草、躊躇、照れ、熱意・・・・。オチもないような下らぬ話の隙間にも、その人らしさや人格が表れていて、そこに共感したくなるような、何か小さな魅力があれば、それだけでじゅうぶんです。」

 楽しい会話っていいですね♪
 
 

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