木曜日, 8月 09, 2012

[8/9 Thu] ▽book 「アスペルガー症候群」



○ 「アスペルガー症候群」 岡田尊司(たかし) 幻冬舎新書刊


 先日テレビで見た。瞬間に見た風景を後で詳細に絵で表現したり、たった一度聴いた曲をピアノで完璧に再現して演奏する超人。凄い才能を持ちながら一般社会では順応するのが厳しい人でもある。その番組ではアスペルガー症候群、高機能自閉症と紹介していました。
興味を持ったのでこの本を読むことにしました。

 本書ではアスペルガー症候群の誕生から、アスペルガー症候群の詳細な説明が書かれています。

『アスペルガー症候群は、社会適応にとって不利にも働くが優れた特性を有利に生かせば大きな成功をもたらすことができる。
対人関係の不器用さやこだわりの強さが、さまざまな摩擦を生んだり、行きづらさの原因にもなったりすることがあるが、それは大きな武器にもなる。その不利をいかにカバーし、特性を活かすことができるかが勝負の分かれ目なのである。』

 このことを最初に指摘したのは、この症候群を見いだしたオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガー自身でした。アスペルガーが家庭や学校で不適応児とあつかわれた子供たちに共通する特徴をもったことに気づきます。1939年第二次世界大戦勃発のときでした。

 こんな昔から発見され、研究されていたとは。アスペルガー症候群にはさまざまなタイプが存在します。本書ではタイプ別に該当する有名人の名も書かれています。マイクロソフト創業者のビルゲイツ、自伝にも書かれたいましたが、最初の妻が指摘していたようにアップルのスティーブジョブズ、映画スターウォーズのジョージルーカス、理論物理学者のアインシュタイン、発明王エジソンなどの名が書かれています。(ほかにも有名人の名がタイプ別に出ています)
これらの偉人の名を見ただけでも歴史を変えている偉業を成し遂げている人たちです。

 アスペルガー症候群は自閉症スペクトラム(連続体)に中の一つであり、広汎性発達障害とも呼ばれているとのこと。アメリカの調査で近年その有病率は毎年2割ずつ増えてるとのことです。

 この本を読んで自分もタイプの一つに合致していると感じました。もちろんそれは偉業をまったく成し遂げていないダメな人間のひとりとしてですが。アスペルガーに合併する症状としてうつ病なども挙げられるようです。そしてまた今の過酷な時代状況の中、軽症のアスペルガータイプが増えていると本書のおわりに書かれています。ある意味この世界で大小含め、アスペルガー症候群の人が多く存在するのかもしれません。

 本書はアスペルガー症候群について書かれているのですが、その対処方法が、普通の幼児から小学生、中学生といった子供に対する親の対応の仕方についてもとても良い参考となる内容だと感じました。ちなみにアスペルガー症候群のエジソンは母親の適切な対応で、あの発明王に育てたのです。
 アスペルガー症候群の人たちは人類の宝なのだと思います。世界を変えることができる人たちなのだと思います。今の学校を初めとする教育システムをアスペルガー症候群の子供たちを活かせる教育システムに変えることができたら、日本いや地球全体の人たちを幸せにする世界を構築できると確信しました。
 

 最後に好きな表現の抜粋です。

『走るのは苦手だが空を飛ぶことができる鳥に、走る練習ばかりさせるのが、あまり賢明ではないと同じように、アスペルガー症候群の子に、「ふつうの子」と同じようにふるまうことばかり求めたのでは、せっかく生まれた、大空を羽ばたく能力を活かせず、個性をころしてしまうことになる。』




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