木曜日, 4月 19, 2012

[4/19 Thu] ▽Movie「八日目の蝉」

 最近はすっかり映画にお金をかけなくなった。正確に言えばお金がないから有料で映画館へ行ったり、ビデオを借りたりできないのが実状だ。今年の日本アカデミー賞で多くの部門で受賞した「八日目の蝉」も劇場公開時から見たかったが、無料で見ることができる今日まで我慢していた。そして今日お試し無料契約している光インターネットTVのチャンネルで放送していたのでやっと見ることができたのでした。


  「八日目の蝉」 2011年 監督:成島出 脚本は:奥寺佐渡子 出演:井上真央 永作博美

最初に「八日目の蝉」はNHKの連続ドラマで見たのでした。 出演:壇れい 北乃きい

(そのときの感想↓ 2011年2月)
http://wildhomemaker.blogspot.jp/2011/02/215-tue.html

 全6回のドラマでした。この後に角田光代原作の小説を読みました。NHK版ではほぼ小説に近い内容で展開されていたと思います。それに対して映画ではダイジェスト版といった感じを受けました。2ー3時間程度の制限がある映画ではどうしても原作全部を表現できないので、登場人物を減らさなくてはいけないし、ストーリーもだいぶ削る必要がでてくるので仕方がないことです。脚本を書くのも大変だと思います。とはいえ出演者の演技は素晴らしいと思います。
 
 個人的な感想として残念だったと思う点がいくつかありました。その一。本当の親子でない二人の親子愛が短い表現時間のせいで深く描かれなかったこと。その二。小豆島がとても美しい自然に囲まれていて、子供をそのような環境で育てるという喜びの表現が少なめだった。もっと明るい自然、海は青々と輝き、緑は鮮やかな色を出して欲しかった。映画では暗めの映像だったため島での楽しい生活というイメージが出ずにいたと思うのです。その三。奪った子供と必死に隠れ、逃げ回っているドキドキ感が少なく感じた。これも短時間の表現では難しいのかもしれない。その四。「蝉の抜け殻」がこの物語の中で大きなキーワードだと僕は思うのですが、映画ではそのくだりがありませんでした。あえて先に作られたNHK作品と違ったモノにしようと考えたのでしょうか。

 もしこの映画をNHKドラマを見たり、原作を先に読んでいなければまた別の感想を持ったのかもしれません。あまりに期待に胸をふくらませて映画を見てしまったことも良くなかったのかなとも思いました。

 ○ ○ ○

  話は変わりますが映画がダイジェスト版といった感じといえば、先日見た映画「愛染かつら」も同様かも知れません。1938年-39年のモノクロ作品。監督:野村浩将、出演:田中絹代、上原謙。
NHKのBSで放送していた「山田洋次監督の選んだ映画」の1本で、「総集編」というものでした。この番組での説明で「愛染かつら」は前編、後編、続、完結編と4作品あるそうで、総集編は4作品をコンパクトにまとめたもののようです。
 この映画は戦前の男女のすれ違いからくる恋愛ドキドキ物語であると思います。当時はまだテレビがない時代ですから、映画館でドキドキしながら見てこの続きはどうなるのだろうと次の上映作品を待ちわびていたのでしょう。今のテレビドラマでの来週まで待ちきれないという感覚で映画館に足を運んだのだろうと想像します。「総集編」ではどうしても制約された時間での表現なので4作品を見たらもっと男女の恋が実を結ぶまでのドキドキ感が大きかったに違いありません。

 そうそう。そういえば僕が中三のときにドキドキして毎週見ていた「宇宙戦艦ヤマト」。地球からはるか遠いイスカンダル星まで苦難の道を航海(いや航行)する物語だけど、数年後ヤマトがブレークしたきっかけの映画版では、やはりテレビでは毎週30分間半年かけた旅路を、2時間ちょっとでダイジェストとして表現したので、旅路の「苦難さ」は低減されてしまっていたと思います。

 ということで時間がある限り総集編ではない全編で見たり、読んだりしたいものであります。

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