木曜日, 10月 09, 2008

[10/9 Thu] ▽アンネの日記 Part2

夏休みの長女の借りていた『アンネの日記』はなかなか読むのに時間がかかり、半分も読み終わらないうちに夏休みが終わってしまった。仕方なく市の図書館で借りることにした。
 すると完全版から遅れること9年後の2003年。『アンネの日記 増補新訂版』が出ていたのだ。これは完全版の一部の不足を補ったもの。でも一番良かったのは完全版が2段印刷になっていて字が細かかったことに対して、増補新訂版は一段印刷で字が大きくなっているのだ。つまり完全版は字が小さくて、このところ近くのものが見えづらくなった僕にとって、読みづらかったのだ。おまけに増補新訂版は中学生にも読みやすいようにルビも多用している。ちなみに1947発行当初のアンネの日記と完全版では、アンネの父が削除していた性についての記述や母親に対する悪口の記述も追加記載されている。

 では前回7/23のブログの続きとして僕が気になった記述をピックアップしてみた。

【1943/6/13】
 自分の欠点は小さく見えるものだ、だから他人の欠点は批判しやすい、他人のそれは二倍にも大きく見えるものだから。
【1944/2/3】
 私がこの世から姿を消しても、地球はこのまま回転を続けるでしょうし、何があろうと、起こるべきことは起こるでしょう。
【1944/3/3】
  今夜、蝋燭の光を見いっていると、心がなごやかになり、幸福を感じました。
【1944/3/7】
 いまでは、夜、ベッドにはいって、お祈りの最後に、「この世の全てのすばらしいものや愛おしいものや美しいものにたいして神様に感謝します」と唱えるとき、わたしの心は歓喜に満たされます。
 -----
 (略)わたしは、どんな不幸のなかにも、つねに美しいものが残っているということを発見しました。それを探す気になりさえすれば、それだけ多くの美しいもの、多くの幸福が見つかり、人は心の調和をとりもどすでしょう。そして幸福なひとはだれでも、ほかのひとまで幸福にしてくれます。それだけの勇気と信念とを持つひとは、けっして不幸に押しつぶされたりはしないのです
【1944/3/16】
 たしか古いことわざに、恋はしばしば同情から始まる、とか、同情と恋は紙一重、とかいうのがあったはずです。
【1944/3/18】
 (性の知識について述べている) 要するに、母親が子供たちにいっさいを話してやらないかぎり、こどもはすこしずついろんな知識を聞きかじり、そしてそれは間違った知識になりがちなのです。
【1944/3/29】
 **アンネの日記の原題は「後ろの家」で、意味はオランダ独自の建築様式の名称。 意訳として「隠れ家」というようなことになる。
【1944/4/1】
 (好きになったペーターが恋を打ち明けてくれないことに対して) もうやめましょう。平静を失ってはいけません。落ち着いて、矜持(きょうじ、プライドのこと)を保ち、わずかばかりの忍耐を失わずにいれば、もとめるものはきっと向こうから近づいてくるはず。
【1944/4/5】
 (将来ジャーナリストになることを考えながら) 書いていさえすれば、なにもかも忘れることができます。悲しみは消え、新たな勇気が湧いてきます。
【1944/4/11】
 (ユダヤ人差別について) 多くの時代を超えて、ユダヤ人は生きのびてきました。そのあいだずっと苦しんでこなくてはなりませんでしたが、同時にそれによって強くなることも覚えました。弱いものは狙われます。けれども強いものは生き残り、けっして負けることはないのです!
【1944/4/14】
 (略)良くなるのも悪くなるのも、人の心の持ちようしだいなんです。
【1944/5/22】
 物事はいつの場合も表裏両面を見なくちゃなりません。
【1944/7/6】
 わたしたちはみんな生きています。でもなぜ生きているのか、なんのために生きているのかは知りません。だれもが幸福になりたいという目的をもって生きています。生き方はそれぞれちがっても、目的はみんな同じなんです。
 -----
 (ペーターに対して) 気の毒に、他人をしあわせにしてあげるというのが、どんなにすてきなものかも知らず、かといってわたしからそれを教えてあげることもできません。
 -----
 (略)問題は神を恐れることではなく、自らの名誉と良心を保つことなんです。だれもが毎晩眠りにつく前に、その日一日の出来事を思い返し、なにが良くてなにが悪かったのか、きちんと反省してみるならば、ひとはどれだけ崇高に、りっぱに生きられることでしょう。

 <日記は8月1日で終わっている。8月4日当局に逮捕、連行されてしまった。>


約2年の間、限られた空間に閉じこめられてひっそり生活するアンネたちの生き方は、凄ましいものだった。そんな生活の中でも希望を持ち、時には笑顔で過ごした日々は想像に絶する。是非とも生き延びて欲しかったと思う。
この本を読んでつくづく思ったのは、アンネの文才の優秀さだ。非常に読みやすい文章だ。これはアンネだけでなく、翻訳者深町眞理子さんの技量の高さなのでしょう。読んでいて60年以上前の文だとは想像できません。非常に現代文のような翻訳で古くさくなく読みやすいのでした。
 そして中学生のアンネは本をたくさん読んでいることからか、とても頭脳明晰で中学生とは思えない考え方をしていると感じました。もし生き続けることができたならば、世界で活躍する人物になったと思います。

時代が違っても人間の考え方は変わっていないとも感じたのでした。

↓バックナンバー 7/23のブログhttp://wildhomemaker.blogspot.com/2008/07/blog-post_23.html

0 件のコメント: